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技術コラム

ねじ・締結部品でできるHACCP対策「異物混入防止」

2024.01.30
異物混入

2021年6月、HACCPの導入・運用が義務化され、食品を取り扱う事業者はこれまでの方法よりもさらに緻密な対応が求められています。
私たちねじ業界に直接関係はないものの、食品機械や飲食業界のセントラルキッチンの設備など、ねじを提供しているお客様から、「HACCPの導入にあたり、ねじが脱落するという問題についてユーザーから指摘を受けている。」「設備にこの材質のねじを使用することは問題ないのか?」といったお声をよく耳にするようになりました。
そこで、改めて「ねじ・締結部品でできるHACCP対策」について考えてみようと思います。

そもそも、HACCPとは

厚生労働省は「HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法」と定めています。
違反に対する罰則はないものの、食品関連の事故は人の命を脅かす可能性があり、大きな事故になってしまうと取り返しがつきません。

ねじが関わる危害要因

HACCPで危害要因として挙げられているものは全部で3つあります。

1つ目は「生物的危害要因」です。
こちらはサルモネラ菌やノロウィルス、アニサキスなど主に“微生物”による危害要因のことを指します。

2つ目は「科学的危害要因」です。
こちらは重金属、農薬、食品添加物などの“化学物質”による危害要因のことを指します。

3つ目は「物理的危害要因」です。
毛、虫、プラスチック、金属片などの“硬質異物”による危害要因のことを指します。

この3つのうち、ねじ・締結部品が関わるものが「物理的危害要因」です。
イケキンが過去に相談を受けた事例では、機械から脱落したねじが食品中に混入し、それに気づかないまま製品を出荷してしまったそうです。
こういった物理的危害要の混入(いわゆる異物混入)が起きる原因と対策方法を解説していきます。

食品機械などにおける異物混入が起きる原因は「ねじのゆるみ」

先ほど述べた事例のような異物混入はねじがゆるむことによる部品の脱落が原因です。
ねじはメンテナンス等で取り外しする可能性がある箇所、つまり溶接などで完全に固着してしまうことが不可能である場所に使用されています。
つまり、ねじを使用する際はゆるむことを前提に適切な対策をとる必要があります。

ゆるみの原因

ゆるみとは「軸力(※)の低下」です。
軸力とは、簡単に言い換えると2つ以上のものを固定する力(固定力)のことです。
適正な軸力が発揮できていれば、振動などの外力が加わってもゆるむことはありません。

ねじのゆるみ対策において軸力は非常に重要ですが、実際の締め付け時に数値として確認することができません。
そのため大抵の場合ねじの締め付けはトルク法で管理されています。
しかしトルク法では、締め付け時に生じる摩擦の影響まで管理できないので、実際には適正な軸力が出せていないことがあります。
軸力が不足している状態(ねじがゆるんでいる状態)で機械が稼働すると、被締結部材が動いて擦れ合うことにより金属粉が出たり、最悪の場合ねじの脱落に繋がります。

これが異物混入に発展する、ゆるみの原因です。
食品機械や製造ラインは動かすことにより振動がかかるので、ねじのゆるみは発生させる要素は十分にあります。

※軸力…詳しい解説はこちら

ゆるみには種類がある

ゆるみには様々な原因がありますが、大きく分けると2種類に分けられます。

①回転ゆるみ
ナットが戻り回転するゆるみ(アイマークがずれている)
②非回転ゆるみ
ナットが戻り回転していないのに、軸力が低下するゆるみ(アイマークがずれていない)

まずはゆるみの原因を解明し、種類に応じた対策をとることが重要です。

※「ねじのゆるみ」については後日別のコラムで詳しく解説します。

ゆるみ対策の現状

現在、食品業界では「HACCPに基づく衛生管理」を取り入れたマニュアルが作成されています。
その中に「ねじやボルトのゆるみが無いか確認する。ねじやボルトにゆるみがあれば締め直し、部品の破損があった場合は修理・交換をする。」といった記載があります。

このルールに基づいて日々メンテナンスを行う企業様が多いかと思います。
よくお聞きする対策としてはねじの増し締めでしょうか。
毎朝始業前の30分全てのねじの増し締めを行う企業様もいらっしゃいます。
そうした場合、時間や人件費等のコストも多く、また人が携わる分ヒューマンエラーのリスクも高くなります。

もちろんねじの増し締めがねじのゆるみ対策に効果的な場面はございます。
ですが、現在問題視しているその箇所にとって、増し締めは果たして効果的な方法なのでしょうか?
というのも、ゆるみの種類と対策はきちんと合わせなければ効果を発揮しないのです。

ゆるみはどう対策すればよい?

ではどうすれば良いのかというと、まずは生じているゆるみの種類がどちらなのかを知る必要があります。
それを知った上で、「ゆるみの種類に合った対策をとること」がとても重要です。

例えば、回転ゆるみの対策としては、ノルトロックワッシャーやナットタイプのゆるみ止めの使用が有効です。
スペースを確保できない場合やタップ穴の場合は、プレコートタイプのゆるみ止めなどもあります。
非回転ゆるみの対策としては、平座金(丸ワッシャー)やフランジ付き六角ボルトなど、ボルトの座面の接地面積を広げることのできる製品や、ばね座金(スプリングワッシャー)が有効です。
ただし、いずれの製品も使用環境(温度、スペースなど)によっては使用できない可能性もあるので、一概にこれが良いというわけではありません。

最適なゆるみ対策方法を選び実践することが、何よりのHACCP対策(異物混入防止)に繋がります。

もしゆるみの原因がわからない場合は、一度イケキンにご相談ください。
ご状況をお伺いして、最適なご提案をさせていただきます。
ねじ締結に関するセミナーなども行っておりますので、ご興味がございましたらお問い合わせください。

ゆるみの種類ごとに、具体的な対策製品をまとめた資料もご用意しております。
製品の特徴なども詳しく記載しておりますので、異物混入でお悩みの方はぜひダウンロードしてお読みください。

曖昧な内容でも遠慮なくご相談ください!
じっくりお話をお伺いし、解決方法をご提案いたします

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