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技術コラム

これは読んどけ、新人設計者が読むべき"ねじ"の本 5選

2026.01.07
設計1年生への基礎知識

みなさん、ねじって使ってますか?

と問われたら、「それくらい知ってるわ、馬鹿にするんじゃない」と思いますよね。

機械設計をやっていれば、ねじを使わない設計なんてほぼ存在しません。
ボルト、ナット、小ねじ、日々何気なく使っているこの小さな部品たち。
確かに知ってはいる、しかしながら、ちゃんと理解して使えていますか?

「知っている」と「理解している」は全くの別物です。
むしろねじを完全に理解している人など、この世にはいないのではないか。
それほどにねじの世界は奥が深いのです。
締付けトルクと軸力の関係、疲労破壊のメカニズム、ゆるみの原因……。
知れば知るほど「なんでこんな小さな部品がこんなに難しいんだ」と思わされます。

本記事では、新人設計者のみなさんに向けて、私が実際に読んできた中でオススメのねじに関する書籍を紹介します。
設計実務でねじを扱う上で、きっと役に立つ本ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。

では、さっそくいきましょう!!

なぜ、本を読むのか?

本題に入る前に、少しだけ「なぜ本を読むべきなのか」について語らせてください。

今の時代、情報を手に入れる手段はいくらでもありますよね。
技術ブログで調べれば大抵のことは出てくるし、AIに聞けばそれっぽい答えを返してくれる。
YouTubeには解説動画だってあります。
こんな時代に、わざわざ本を読む必要があるのでしょうか?

私は「ある」と強く断言します。

なぜなら、体系的な知識を効率的に得るには、本を読むのが最も優れた方法だからです。

技術ブログやネット記事で得られる知識は、基本的に「情報の断片」なんです。
その記事を書いた人が、そのとき必要だった情報を切り取って書いているわけです。
これはこれで有用なのですが、断片的な知識だけでは全体像が見えません。
設計実務で得られるOJTの知識も同様です。
現場で学べることは確かに多いのですが、それは「自分が関わった案件で必要だったこと」に偏りがちです。
色々と網羅的に知っているつもりでも、実は知識が虫食い状態になっていることが多いのです。

例えば、「ボルトの締付けトルクはこれくらい」という経験則は知っていても、なぜそのトルクなのか、軸力とトルクの関係はどうなっているのか、摩擦係数がばらつくとどうなるのか……こうした根本的な理論が抜け落ちていることがあります。
この虫食い状態の知識を埋めるためには、まとまった骨太な知識が必要です。
そして、そのためには本を読むのが一番効率的なのです。
良い専門書は、著者が長年かけて培った知識を体系的に整理してくれています。
それを数千円で手に入れられるのですから、これほどコスパの良い投資はありません。

というわけで、私がこれまで読んできた中で「これは良かった!!」と思えるねじに関する本を紹介していきます。

オススメ書籍紹介

1. 増補 ねじ締結概論(養賢堂)

著者:酒井智次

まず最初に紹介するのは、ねじ締結のバイブルとも言える一冊です。

本書は、ねじ締結体の品質向上を目指して、ねじ締結の基本から設計検討手法、評価手法、検査手法に至るまで、ねじ締結全般についてわかりやすく解説しています。
著者の酒井智次氏はトヨタ自動車で長年ねじの研究・開発に従事された方で、日本機械学会賞(技術功績)を受賞されています。
この本の素晴らしいところは、実務で役立つ視点で書かれているという点です。
「締付けトルクと軸力」「ボルトの疲労破壊」「ねじのゆるみ」など、設計者が実際に悩むポイントがしっかりカバーされています。
増補版では設計計算事例と42問の演習問題が追加されており、読むだけでなく手を動かして学べるようになっているのも嬉しいポイントですね。

Amazonのレビューを見ても「これ以上の本を探す必要性はないと感じる良書」「ねじ設計をする全ての人に必携」といった評価が並んでいます。
私もこの意見に同意します。
まさに「超王道のねじの教科書」と呼ぶにふさわしい一冊です。
この一冊をデスクに置いておけば、まず間違いありません。

2. 技術者のためのねじの力学(コロナ社)

著者:福岡俊道

続いて紹介するのは、材料力学と数値解析(CAE)の観点からねじを深掘りした一冊です。
著者の福岡俊道氏は神戸大学名誉教授で、ねじの有限要素解析による力学特性の解明で工学博士を取得された方です。
日本機械学会論文賞、アメリカ機械学会圧力容器配管部門賞など、数々の受賞歴を持つねじ研究の第一人者です。
本書では、ねじの幾何学、締結部剛性、締め付け特性、静的強度と疲労強度、熱負荷に対する挙動などを解説しています。
特徴的なのは、力学にフォーカスしている点。
CAE手法を用いた「壊れないねじ締結部設計」に必要な基礎知識を提供してくれるところです。
全体的に非常に読み応えがあります、言い換えれば容易には読み進めることはできません。
大型車の車輪脱落事故やジェットコースター車軸の疲労破壊など、実際に起きたトラブルの原因究明と解決策が解説されているのも特徴ですね。

3. ねじ締結の原理と設計(養賢堂)

著者:山本晃

3冊目は、ねじ締結の理論を体系的にまとめた古典的名著です。
著者の山本晃氏は、ねじ研究の大御所とも言える存在で、同じ養賢堂から『ねじ締結の理論と計算』という本も出版されています。
「ねじ山を制するものは世界を制する」という言葉がありますが、まさにねじの世界を制した研究者と言えるでしょう。
本書は、締結用ねじを対象として、ねじの規格、力学、締付け、緩み、疲れ、設計という流れで、その意義と内容をわかりやすく解説しています。
「斜面の原理」から始まる力学的なアプローチが特徴で、ねじがなぜ締結力を発揮できるのか、その根本的な原理から理解することができます。
1995年刊行と少し古い本ですが、ねじの理論は不変ですから今でも十分に通用する内容です。
前述の『増補 ねじ締結概論』と併せて読むと、より理解が深まるでしょう。

4. ねじ締結体設計のポイント(日本規格協会)

編集委員長:吉本勇

4冊目は、JISの使い方シリーズとして出版されている実務書です。
日本規格協会から出版されているだけあって、JIS規格との対応がしっかり解説されているのが特徴です。
設計実務では規格に準拠した設計が求められることが多いですから、この本は非常に実用的と言えます。
改訂版は406ページとボリュームがあり、ねじ締結体の設計に必要な知識を網羅的にカバーしています。
規格というと無味乾燥なイメージがあるかもしれませんが、規格の背景にある技術的な理由を理解することは、設計者にとって非常に重要です。
「なぜこの規格値なのか」を理解していれば、規格から外れる設計が必要になったときにも適切な判断ができます。
手元に置いておくと何かと役立つ一冊です。

5. 集まれ!設計1年生 はじめての締結設計(日刊工業新聞社)

著者:谷津祐哉(しぶちょー)

最後に紹介するのは……はい、私の本です(笑)。

手前味噌で恐縮ですが、これまで紹介してきた本は専門書として非常に優れている一方で、初学者にはかなり敷居が高いという面もあります。
よって、締結設計の基礎を平易な言葉で解説した入門書として、この本を書きました。
本書では、締結に関する設計を基礎から解説しつつ、設計で考えるべきポイント、忘れがちなポイントを解説しています。
ねじだけでなく、ピンやリベットなど、締結部品全般を扱っています。締結というのはシンプルながら奥深い分野です。
トラブルが起こりやすいポイントでもあるので、まずはこの本で全体像を掴んでから、先に紹介した専門書で深掘りしていくという読み方をオススメします。


その他 おまけ

技術書だけでなく、ねじやものづくりの歴史・文化を知る本も紹介しておきます。
こうした本を読むと、技術への理解が深まり、ねじを勉強するモチベーションが湧きます。
技術とは無味乾燥なものではなく、人の努力が作り上げた血の通ったものであると実感できますよ。

「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》(講談社学術文庫)

 

著者:橋本毅彦

近代工業を席巻した「標準化」という概念がどのように生まれ、発展してきたかを描いた一冊です。
フランスの技術者による「互換性部品」に始まり、アメリカ式製造方式の確立、テイラーによる作業の標準化……。
「標準」をキーワードに、製造の現場のドラマと国家・企業・市場の関係を探っています。
特にねじとの関係で言えば、「ねじの規格を決める」という章があり、互換性から標準化へと進む歴史が詳しく解説されています。
今では当たり前のように使っているM6やM10といったねじの規格も、実は長い歴史と多くの技術者の努力の結晶なのです。
「標準を制するものが、世界を制する」——この言葉の重みを実感できる一冊です。

ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語(早川書房)

著者:ヴィトルト・リプチンスキ

「この千年で最も優れた工具は何か?」という問いから始まる、ねじとねじ回しの博物誌です。
著者は建築と都市計画の研究者ですが、この本では中世の甲冑や火縄銃にまでさかのぼり、ねじの起源を探っていきます。
水道の蛇口から携帯電話まで、日常生活のそこかしこ顔を出すねじ。
この小さな道具こそ、千年間で最大の発明だと著者は主張しています。
技術書ではありませんが、ねじに対する愛着が湧いてくること間違いなしの一冊です。
ものづくりに携わる者として、自分が扱う部品の歴史を知っておくのも良いものですよ。

まとめ

本記事で紹介した書籍は、容易には読めないもの骨太なものばかりです。
「新人設計者に勧めるにはレベルが高すぎるのでは?」と思った方もいるかもしれません。
難しいものをわかりやすくかみ砕いた情報は世の中に溢れています、かくいう私の本もその情報の一つです。
興味関心の入り口はそれでもいいですが、結局は”難しいものも難しいまま理解する力”が必要になります。
ファストフード的な情報ばかり摂取していては骨太な技術者には成長できないのです。
故に、こういった難しいながらも確実にタメになる本を手元に置いて、読み進めることも重要なのです。
ただ焦る必要はありません、ゆっくりじっくり味わいながら読み進めればいいのです。

福沢諭吉の言葉の中に「ただ難しければ面白い」というものがあります。
物事が難しければ難しいほど、それは面白いということです。
ねじの世界は、まさにその難しいがゆえに面白い世界です。
ねじは小さな部品ですが、その背後には深い力学と長い歴史があります。
ぜひ本を手に取って、ねじの世界を探求してみてください。
きっと、明日からの設計が変わるはずです!!

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