メニュー閉じる
お問い合わせ
資料ダウンロード
ホーム技術コラムワイヤーインサート、キーサート、インサートナット…?ねじインサートの種類と違い

技術コラム

ワイヤーインサート、キーサート、インサートナット…?ねじインサートの種類と違い

2025.10.29
インサート

近年、自動車や半導体製造装置といった日本の基幹産業が世界的なサプライチェーンの変化に対応するため、部品や素材の選定にますます注目が集まっています。
ねじやボルトといった小さな部品も例外ではありません。
特に「インサート(ねじインサート)」と呼ばれるめねじの補修・補強部品は、製品全体の信頼性を左右する重要な役割を担っているため、より慎重に選定する必要があります。
インサートはコイルタイプ、セルフタップタイプ、圧入タイプの3つに分類されます。
本コラムでは3つのタイプの違いと、代表的なインサートである「ワイヤーインサート」「キーサート」「エンザート」「インサートナット」の特徴をわかりやすく解説します。
選定時の参考にしていただければと思います。

コイルタイプ(ワイヤーインサート・キーサート)の特徴

コイルタイプは、母材に切られためねじにねじ込んで使用します。
代表的なものだと、「ワイヤーインサート(ヘリサート・リコイルなど)」「キーサート」があります。
ワイヤーインサートはステンレスなどの金属ワイヤーをらせん状に巻いた形状で、ばねの力が縦方向にも横方向にも働くため抜けにくいことが特長です。
材質の種類も豊富で、高温環境や湿潤環境など過酷な環境下でも使用できるものがあります。

 

 

キーサートは筒状で内側にも外側にもねじが切られています。
挿入完了後に天面から飛び出している楔となるキーを専用ツールで溝に打ち込むことによってロックし、供回りを防ぎます。
ワイヤーインサートよりもおねじとの接触面積が多く、強度が高いことが特長です。
その分プラスチックなどのやわらかい素材への使用はお勧めできません。

 

キーサート

 

ワイヤーインサートは専用のタップが必要ですが、キーサートは一般的なタップで使用できます。

ワイヤーインサート(リコイル)の詳細はこちら
キーサートの詳細はこちら

セルフタップタイプ(エンザート)の特徴

セルフタップタイプは下穴に自らねじを切りながら挿入することができ、他のタイプのインサートよりも挿入時の工程が少ないことが特長です。
キーサート同様おねじとの接触面積がワイヤーインサートよりも多く、強度が高いというメリットもあります。
代表的な製品は「エンザート」です。
材質は鋼(SUM22L相当)とステンレス(SUS430F、SUS303)、真鍮などがあります。
形状が複数あり、相手材の材質によって使い分けます。

 

 

エンザートの詳細はこちら

圧入タイプ(インサートナット)の特徴

圧入タイプの「インサートナット」はポンチやハンマーでたたいて圧入して使用します。
樹脂などを加熱して下穴を溶かしながら圧入する方法もあります。(熱圧入方式)
基本の材質は真鍮で、強度はあまり高くありませんが他のインサートに比べると強度は低いですが、比較的安価で入手できます。
また、タップを立てずに使用できるためワイヤーインサート(タング付き)よりは挿入工程が少なく済みます。

各タイプ比較

各タイプのインサートを選定時のポイントとなる観点で比較してみました。

■本体の強度
おねじとの接地面積が多くなるキーサート、エンザートは比較的インサート本体の強度が高く、強い軸力を必要とする箇所でも使用できます。
鉄道や車両関係での採用実績もあります。

■母材の材質
インサートには母材の被削性によって向き不向きがあります。
ワイヤーインサート・キーサートは比較的母材の材質に影響されず使用できますが、エンザート・インサートナットは被削性の悪い母材だと壊れてしまう可能性があるため使用できません。

■形状の種類
キーサート・エンザート・インサートナットは形状にも種類があります。
使用箇所に求める性能や使用環境を鑑みて選定する必要があります。

■挿入工程
ご紹介しているインサートの中では、エンザートが最も工程が少なく簡単に挿入できます。
ワイヤーインサートはタング(挿入工具をひっかける爪)の折り取り・除去作業が必要で、工程が多くなります。
その作業をなくした「タングレスワイヤーインサート」があるので、大量に使う場合はそちらをお勧めします。

まとめ

インサートは一見すると似たような部品ですが、強度・材質・挿入方法・コストといった要素を総合的に考えると、それぞれに適材適所があります。
製品全体の品質を高めるためには、使用環境や母材の特性を踏まえ最適なインサートを選定することが欠かせません。
選定時の参考になるよう、イケキンで取り扱っているインサート(※)の比較表をご用意しました。
各部品のサイズ表も合わせております。
インサートの特性を理解し、ものづくりの現場で活用するために参考にしていただければ幸いです。

※イケキン取り扱いインサート
・リコイル(ワイヤーインサート)
・リコイルタングレスインサート(ワイヤーインサート)
・キーサート
・エンザート
★インサートナットについては直接お問い合わせください。
 一般流通品・特注品両方対応可能です。

曖昧な内容でも遠慮なくご相談ください!
じっくりお話をお伺いし、解決方法をご提案いたします

ご相談依頼はこちら

 

池田金属への相談メリット丸わかり!

無料!まずは資料をダウンロードする

 

関連コンテンツ

イケキンおすすめ
2025.09.10
めねじ補修・補強の強い味方「ワイヤーインサート」とは
  • #ワイヤーインサート
  • #ねじインサート
  • #インサート
  • #めねじ補強
  • #めねじ補修
インサート
2022.08.01
ねじインサートの正しい設計方法 その効果を最大限に発揮させるために大切なこと
  • #ねじインサート
  • #めねじ補強
  • #めねじ補修
イケキンおすすめ
2024.04.12
ねじのゆるみのメカニズム
  • #軸力
  • #トルク
  • #ゆるみ
ねじ締結のお悩みは
イケキンが解決します!
ねじ・締結部品に関するご相談・ご依頼は、
お気軽にお問い合わせください。