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技術コラム

技術者なら知っておくべき!あらゆる指標に根付いている「標準数」を徹底解説!

2026.03.26
現役設計者の生の声

こんにちはー、りびぃです。

普段はFA(ファクトリー・オートメーション)の業界で、設計の仕事をしています。

設計をする上では多種多様の部品を組合せて目的の動作や仕事をさせられるように部品を選定していきますが、その選定をするためには、その部品に求められる性能や強度を計算・確認等をしながら進めていきます。

ところで、いざ部品を選定する際に技術カタログや便覧を見てみると、そのラインアップのされ方について「あれ、なんで中途半端なサイズでラインアップされているんだろう?」と不思議に思ったことはありませんか?

例えば三相モータを選定するためにカタログを見てみると、その容量のラインナップが、「0.75kW, 1.5kW, 2.2kW, 3.7kW,・・・」という風になっていたりします。

「え、なんで0.1kWとか0.5kW刻みじゃないんだろ・・・、なんか覚えにくい・・・」

という感じで私は若手の頃よく感じていました笑。

ただ実はこれ「メーカの人がテキトーに決めている」わけではなく、ちゃんとした根拠に基づいてラインアップがされているのです。

そこで重要となるのが「標準数」というものです。

この標準数は製造業において非常に深く根付いている概念であり、モータに限らず多くの部品のラインアップにも採用されている数字でもあります。

この概念を知っておくと、設計で部品選定をする際に「現在のスペックから一回り性能を上げると、だいたいどのようなスペック・大きさになるか」というのが瞬時にわかるので、設計のアイデア出しをスピーディに行うことができます。

頭の回転が早くて次々に具体的なアイデアが出せる設計者って、かなりかっこいいですよね!

ということで今回は、製造業にかなり深く根付いている「標準数」について、解説をしていきたいと思います。

標準数とは何か

標準数とは、ある倍率の等比数列になっている数字の並びのことを言います。

等比数列は言葉だとイメージがつきにくいですが、例えば「1→2→4→8→16→・・・」という数字の並びは、2倍で大きくなるような数字の並びなので等比数列であると言えます。

この等比数列の倍率のことを「公比」と言いますが、標準数で用いられる公比は規格で決められています。

機械部品系においてはJIS Z 8601で定められているR系列が主に採用されており、その内容は、

  • R5系列: 公比が10⁽¹ᐟ⁵⁾ (≒1.58)
  • R10系列: 公比が10⁽¹ᐟ¹⁰⁾ (≒1.25)
  • R20系列: 公比が10⁽¹ᐟ²⁰⁾ (≒1.12)
  • R40系列: 公比が10⁽¹ᐟ⁴⁰⁾ (≒1.06)
  • R80系列: 公比が10⁽¹ᐟ⁸⁰⁾ (≒1.03)

となっております。

一方で電子部品ではJIS C 60063で定められているE系列が主に使われ、その内容は、

  • E3系列: 公比が10⁽¹ᐟ³⁾ (≒2.15)
  • E6系列: 公比が10⁽¹ᐟ⁶⁾ (≒1.46)
  • E12系列: 公比が10⁽¹ᐟ¹²⁾ (≒1.21)
  • E24系列: 公比が10⁽¹ᐟ²⁴⁾ (≒1.10)
  • E48系列: 公比が10⁽¹ᐟ⁴⁸⁾ (≒1.05)
  • E96系列: 公比が10⁽¹ᐟ⁹⁶⁾ (≒1.02)
  • E192系列: 公比が10⁽¹ᐟ¹⁹²⁾ (≒1.01)

となっています。

表に表すと以下のとおりです。

R5系列R10系列R20系列
1.001.001.00
1.12
1.251.25
1.40
1.601.601.60
1.80
2.002.00
2.24
2.502.502.50
・・・・・・・・・
E3系列E6系列E12系列
101010
12
1515
18
222222
27
3333
39
474747
・・・・・・・・・

※各系列の数値は一部のみ記載しています。

この数字の並びを見て「あ、なんか見覚えあるかも!」と気付いた方もいるのではないでしょうか?

標準数が誕生した経緯

標準数の生みの親は、19世紀後半のフランス軍人、シャルル・ルナール大尉です。

先述の標準数のR◯系列のRは、この「ルナール」のRから来ているのですが、この標準数ができた背景には「気球の紐の太さ」の問題がありました。

ルナールが生存していた当時、係留気球に使用される索(紐)の種類は実に425種類もあり、それらの在庫管理は地獄のような惨状でした。

そこでルナールは、「紐の強度は断面積(直径の2乗)に比例する」という物理的特性に着目し、直径を等比級数的に整理することを提案することとしました。

例えば、紐の太さが直径4mmの場合に強度不足だった場合に、たったの1mm太くした直径5mmにすることで相対的に強度は大きく向上します。

一方で紐の太さが直径40mmの場合に強度不足だった場合に、たったの1mm太くした直径41mmにしたとて、相対的に強度はそこまで大きくはなりません。

4mmから5mmへ太さを増したのと同等の効果を得ようとすると「1.25倍」という倍率をかける、つまり直径40mmの場合には+10mm太くした直径50mmを採用することが望ましいことになるのです。

このようにして、等比数列的に紐の太さを整理することによって、結果わずか17種類の紐でそれまで以上の範囲をカバーすることに成功しました。

この劇的な効率化が、後にISO(国際標準化機構)でも採用される「標準数」のルーツとなりました。

標準数の事例

ではそれぞれの標準数は製造業においてどのような場面で使われているか、私が見つけたものをいくつか紹介していきたいと思います。

必ずしもきっちり標準数通りのラインアップというわけではなく、ラインアップの間隔の途中で累積誤差の調整が入っているものも多いですが、おおよそどういう系列であるかという認識でいただけるとよいかと思います。

油圧ポンプの吐出流量R5系列
アイボルト(吊りボルト)の使用荷重 [ton]R5~R10系列
エアシリンダのチューブ内径R10系列

三相モータの容量

R10系列

配管径

R10系列
歯車のモジュールR10系列
ボルトの長さR10系列
減速機の減速比R10系列
アーク溶接の棒径R10系列
軸径およびベアリング内径R10~20系列
六角ボルトおよびスパナの二面幅R10~20系列
配線の断面積R10~20系列
カメラの絞り値(F値)R20/3系列
抵抗器の抵抗値精度によって系列が異なる
ツェナーダイオードの降伏電圧E24系列
コンデンサの容量E6系列~E12系列

機械要素の中にはモータが組み込まれたものもいくつがありますが、それらの定格容量を見るとやはりモータのラインアップがそのまま採用されていることは多いですね。

筆者プロフィール

りびぃ
「ものづくりのススメ」サイト運営者

2015年、大手設備メーカーの機械設計職に従事。2020年にベンチャーの設備メーカーで機械設計職に従事するとともに、同年から副業として機械設計のための学習ブログ「ものづくりのススメ」の運営をスタートさせる。2025年にメディア事業を目的として「合同会社MSラボ」設立。

⇒ 「ものづくりのススメ」はこちらからアクセスできます!

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