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ホーム課題解決の事例集超音波でボルトの軸力測定!折損原因は軸力不足だった
課題解決の事例集

超音波でボルトの軸力測定!折損原因は軸力不足だった

2025.05.23
お客様の産業製造設備
部署名保全部門

解決策のご提案

●軸力測定
●表面処理の見直し

相談までの経緯

大型モーターを固定するボルトの折損。
専門機関に調査を依頼し、原因は疲労破壊していると判明。
原因は判明したが対策方法が分からず困っている。

状況

大型モーターの固定ボルトが稼働後数か月で折損。折損箇所はランダム

課題の概要



【締付け条件】ボルトナット締結
【強度区分】8.8
【表面処理】三価クロメート
【サイズ】M33x300
【締結箇所8箇所
【設定軸力】250kN
【締付トルク】1,485Nm
【締付け工具】プリセット型トルクレンチ(全長2,400㎜、重量23.7㎏)

作業者及び作業環境
4人で締付け作業を行っている。
足場が悪く狭所で作業を行っており、締付け工具の取り回しに苦労しながら組立・メンテナンスを行っている。

使用環境
設備機械の下にモーターを取り付けられており埃が溜まりやすい。
稼働時の温度が60℃程度まで上昇し、夜間の工場停止時は外気温まで低下するため、時期によっては締結部周辺が結露しやすい状況。
一部のボルトに腐食が見られた。

当時のお客様の対策

社内の設備設計と打合せを行い、折損対策のため8.810.9に強度を上げて同じように締付けするも数か月後に再度折損が発生。
解決策を求めて専門機会に折損原因の調査を依頼し調査報告をしてもらう。
破断面にビーチマークが確認できることから疲労破壊しており、破断部周辺のナット座部とねじ部に腐食を確認。
腐食部を起点に応力が繰り返しかかることで疲労破壊に繋がっている可能性があると報告を受けたが、対策方法が分からず解決に至っていない。

イケキンが提案したこと

課題解決の要件

(1)ボルト折損の原因を明らかにすること
(2)ボルトの折損を防ぐこと
(3)腐食の対策

(1)ボルト折損の原因を明らかにすること

事前の聞き取りで、ボルトの取り付け位置が斜めになっており、作業スペースが狭く、トルクを正しく伝えることが困難で軸力不足が原因ではないかと推測。
設定軸力に到達しているかを超音波ボルト軸力計で測定

(2)ボルトの折損を防ぐこと

現場に訪問すると斜めに装着されたボルトを締付けるために、2.4メートルのトルクレンチを3人がかりで保持し、ボルト頭部は共回り防止のため固定用のレンチを保持する人が1人、計4人で作業を行っていた。
トルクレンチを水平に保つことが難しくトルクを正しくボルトに伝えることができないため、設定軸力に到達できていない可能性があった。
実際に超音波ボルト軸力計で測定すると設定軸力に対して、60%程度の軸力しか出ていない。
この作業環境では正しくトルクボルトに伝達することが難しく、指定された締付トルクで軸力を十分に発揮できないことが判明した。
今回の作業は、全てのボルトを超音波ボルト軸力計で軸力測定しながら締付けを行った。

(3)腐食の対策

ボルト・ナットに腐食が見られたので、高耐食の表面処理『ディスゴ』をご提案。

対策の成果・結果

設定軸力で締付けることができたため、約2年ボルトの折損は発生していない。
腐食に関してもディスゴ処理を採用することで対策することができた。

今回のポイント

ボルトの折損事故は、ゆるみが起因することが多い。
軸力を実際に測定したことで、初期の軸力不足が発生していることが分かり、モーターから伝わる外力が軸力を上回ったことでボルトが疲労破壊していたことが原因であったと考えられる。
更なる改善に向けて提案できることは、

  1. 潤滑剤塗布する(トルク低減)
  2. ナットランナーを使用する(作業改善)
  3. 油圧テンショナーを使用する(作業改善と軸力管理)
  4. スーパーボルトを使用する(作業改善と軸力管理)
  5. DTIシステム(軸力管理)

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